2011年12月8日木曜日

ジャック・ロシャールさんとの往復書簡 その2 (日本語版)


#3 コウタ・ナカヒラからジャック・ロシャールへ
2011124

親愛なるジャック、

素早いお返事有り難うございます。良く分かりました。あなた方の経験談は私たちにとっておおいに助けになります。お手伝いいただけることで、この困難な状況から抜け出せるものと信じております。

コウタ



#4ジャック・ロシャールからコウタナカヒラ
2011124

親愛なるコウタ、

どういたしまして。私はあなた方が、今回の事故によって引き起こされた困難な状況を克服するものと確信しています。あなた方のもとには素晴らしい科学者がいて技術もある。だが、最も大事なのは、皆さんが困難や一部の耳障りな意見(よくあること)にもめげず、これを克服していこうとする意志を共有しているという点です。これは最も大事なことです。1990年代のはじめ、私がベラルーシでの仕事にとりかかりはじめたときの様な、経済状況が悪い上に全ての関係者が落胆しているといった状況とは大きく異なります。

私たちが住民とともに作業にあたった南ベラルーシのいくつかの場所では、この状況を変えるのに何年もかかりました (すなわち、住民同士の信頼の再構築や政治家・科学者の説得です、これによって地元の当局者や専門家が住民と同様に被災地の生活環境を改善する回復過程に関れる様になりました)。福島のセミナー中に地元の方々から聞いた話や、東京での省庁や研究機関での会議の際の当局者の話を元にすると、全ての関係者が連携して作業すれば被災地の生活環境は急速に改善されると確信しています。

私が思うに、事故後の現段階において重要な点は当局と民衆の間の溝が徐々に拡がらないようにすることです。複雑な状況と無限に現れる課題は住民と関係当局者、両者の意欲を挫かせます。これは消極さと諦めを生むだけでなく、両者の軋轢の誘因となります。例えば、当局側は「住民が無理解と不必要な恐れから、目先の事しか見ていない」と嘆くようになり、また住民も「当局の対応が不適切で遅く住民を見放している」と不満を抱きます。これこそが、現時点で危険なことなのです。

しかし私は、あなた方が上手くやれると本気で確信しています。この点において、福島での先週末の会議は私にとって非常に啓発的なものでした。会議の最終勧告では、全ての関係者が協力して事態に立ち向かうことを謳っています(メールに添付した勧告文をご覧下さい)。来年二月、また会議を続けるために福島に戻るのを楽しみしています。

敬具

ジャック

追伸:ところで、もし差し障りなければ、あなたについて、福島とどのような関わりがあるのか、簡単に教えていただけませんか?

0 件のコメント:

コメントを投稿